Photo Gallery of the ROPE 26th Annual Ship Model Exhibition 2001
18世紀の帆船
26-12 グラナダ
Granad
1742 イギリス
1/48 スクラッチビルト
徳武善勝 Yoshikatsu TOKUTAKE
スクラッチビルトとして4隻目の作品。2本マストと2門の臼砲を搭載した姿にひかれて製作に臨んだ。ただ今までスクラッチビルトで作ったバウンティ(2隻)とエンデバーはキットとして発売されており参考にすることができたが、今回はアナトミー・シリーズの本が唯一の参考資料なので大変であった。それでもリギングなどは同年代の船のものを参考にしてまとめた。木目を生かすために気を選び、塗装は極力薄めにし、船尾船室にテーブルと椅子を配した。
26-13 ロイヤルキャロラインの艦載ボート3態
イギリス
1/48 スクラッチビルト
金丸信次郎 Shinjiro KANAMARU
船体はKammer
lander方式で石膏型からプランク・オン・フレームで作った。初めてのことで無駄も多かったが、新しい知恵もつき、結構楽しめた。著者のS.Ballabarba氏によれば、このロングボートはヨールで図面は18世紀の27フィート級ヨールをベースに、王室用の装飾といろいろな状況に対応できるよう描かれたものとのこと。舷側の渦巻き状の彫刻は、わたしの腕では無理なので、モデリングペーストで盛り上げ菜食した。船積のほか3隻作り、標準的なロングボート、天蓋付き、帆走ものと3態にしてみた。
26-14 ロイヤル・キャロライン
Royal Caroline
1749 イギリス
1/47 パナルト社
大池 誠 Makoto OIKE
帆船模型を作り始めた8年ほど前、パンフレットに載った美しい船の写真に魅せられてキットを購入。当時、伊東屋の8階に飾られていた完成品を参考にして2年がかりで完成させた(つまり6年前の作品です)。飾り釘を打ったり、窓ガラスをはめ込んだりすればもっと良くなったと思う。今回、古い作品を出品するにあたり、錆びた金属部品を磨いたり、ロープを一部張り直したりした。
26-15 ロイヤル・キャロライン
Royal Caroline
1749 イギリス
1/24 スクラッチビルト
小松政幸 Masayuki KOMATSU
アナトミーの資料で見る本船の姿は限りなく美しい。今まで見た多くのキットの作品は資料とのギャップがあまりに大きくて満足できそうにない。そこでアナトミーをそのまま再現しようと不覚にも大胆なプランを立てて臨んだのがこの作品。だが困ったことに最大の見せ場である装飾彫刻には全く自信がない。そこで宮島さんに相談すると「よしやろう」と快諾がいただけた。とはいえ多忙な氏にすべての彫刻をお願いするわけにもいかず、一部は自分で彫ってみたが差は歴然。これも愛嬌とお許しを。
26-16 ル・ルカン
Le Requin
1750 フランス
1/48 スクラッチビルト
中園利孝 Toshitaka NAKAZONO
最近、ザ・ロープの模型も『博物館レベル」というような表現が盛んに聞かれる中、製作途中で3500ミクロン(何mmとは恥ずかしくてとても書けない)の図面との誤差に気づき、とてもブルーな気持ちになってしまったが、ここは数で勝負と、船体・甲板の釘打ちに精を出した。その数1万本以上。
ルカン(鮫)という我々には不思議な語感の名前を持つ、いわゆるケベック船。3枚の大三角帆に風を受けて地中海を縦横に快走した。私掠船としても活躍した。
26-17 ハリファックス
Halifax
1774 イギリス
1/54 マモリ社
井上厚子 Atsuko INOUE
なかなか難しい船でしたが、船作りの仲間たちのおかげで船体の完成に漕ぎ着けました。感謝しております。船作りは汲めども尽きぬ面白さがあり、これからもずっと続けていきたいと思っています。
26-18 ハリファックス
Halifax
1774 イギリス
1/54 マモリ社
奥村義也 YOshiya OKUMURA
ずっと前からあこがれていた船である。つくって見て感じたことはたくさんのフックを使用して簡単に帆の付けおろしができる便利な帆船であることがわかった。ただリギングの下し場所がはっきりしなくて大変まごついたが、将来また挑戦してみたい船である。
本船は1774年に郵便船として建造されたが、後にイギリス海軍が購入してスクーナー帆装に改装。アメリカ東海岸で沿岸警備などに使用した。
26-19 ハリファックス
Halifax
1774 イギリス
1/54 マモリ社
西明秀哉 Hideya SAIMEI
最初は郵便船として建造されたが、1768年に英国海軍がこれを購入し、ポーツマスで当時の植民地スクーナーに改造、大砲を搭載するなどして独立戦争直前の緊迫した時期に、アメリカ沿岸での任務に就いた。この船の詳細な記述として有名なハロルド・ハン氏の著書に掲載されている図面によれば、キットは改造前と改造後の船体が入り混じった形になっており迷ったが、大筋ではキットに従い製作した。キットからの変更点は、外板を幅の狭いものに交換し、グレーティング、ウィンドラスの自作等々である。
26-20 ル・クルー
Le Coureur
1776 フランス
1/54 マモリ社
三澤 寛 HIroshi MISAWA
フランスのラガー。1776年に進水。この船の活躍期間は短かった。1778年のイギリスとの海戦で敗れ、拿捕されてしまったからである。拿捕後、イギリス側が詳細な図面を作った。拿捕した敵船の図面を作るのはイギリス海軍の伝統である。
模型の方は甲板貼りがうまくいかず、また外板の曲線も思うとおりに表現できず、いささか面白くない思いをしています。
26-21 ラ・グロワール
La Gloire
1778 フランス
1/90 マモリ社
中塚 裕 Yutaka NAKATSUKA
船殻のキールにねじれが発生したので、その芯ずれ対策として含水させて型で反対方向に応力をかけたり、スターンの一部を肉盛りしたり反対に削ったりと、大変苦労した。また、毎度のことながらスターンギャラリーの製作に自信がない。そのため、その工程のところでいつも工事が滞り、結局「エイヤー」と心に弾みをつけてとりかかる癖がついてしまい、困ったことだと反省している次第。
26-22 バウンティ
Bounty
1784 イギリス
1/64 マモリ社
高橋 宏 Hiroshi TAKAHASHI
バウンティの船体の美しさ、船首・船尾の大胆なカーブが好きでしたので、以前から作ってみたいと思っていた。船体の外板は曲率が大きいので当初は心配していたが、意外とうまく仕上げることができた。部品類はできるだけキットのものを使わないで、文献を参考にスクラッチ製作した。特にこの縮尺でのロープ処理に苦労した。全体のバランスがやや気になるが、一応満足して眺めている。
26-23 バウンティ
Bounty
1784 イギリス
1/64 マモリ社
染谷文男 Fumio SOMEYA
バウンティは英国海軍が民間の船を購入し、改装して特務艦としたものである。南太平洋タヒチ島のパンの木を大西洋側の植民地に移植させることが、この航海の主目的であったが、ブライ艦長への反乱事件を起こして歴史に名を残すことになった。
この模型は過去に製作した船に比較するとヤードやロープの数が多い。リギングの方が船体以上の時間を要した。
26-24 バウンティ
Bounty
1784 イギリス
1/48 スクラッチビルト
小林正博 Masahiro KOBAYASHI
このバウンティはアナトミー・シリーズの本の図面を1/48に拡大して製作したもの。最も苦労したのはロープ張りと旗であった。ロープ張りは片目が不自由のため糸の通りがうまくいかず、いつもどこかに絡んでしまい困った。そこで細いビニールチューブを利用して糸を通した。次に旗については、考証を会員の大石さんに、製作を同じく小松さんに居力していただいて、満足いくものを掲げることができた。平成5年から製作開始し12年4月に完成した。長い道のりであった。
26-25 バウンティ
Bounty
1784 イギリス
1/45 アルテサニア・ラティーナ社
新井芳文 Yoshifumi ARAI
構造の面白さから衝動買いしたキットであるが、素材を好みのものに変えたりしているうちにほとんどの部品を自作する羽目になり、艤装に予想以上の時間がかかっていまった。トランサムの装飾をいかにうまく作るかという点が最大の課題で、まさに試行錯誤の繰り返しであった。
26-26 ダイアナ
Diana
1794 イギリス
1/64 スクラッチビルト
土屋勝司 Katsuji TSUCHIYA
製作開始から既に2年半、苦しかったフレーム作りやハンギングニ―の工程は終わり、現在はギャレーストーブ、チェーンポンプ、キャプスタン、船尾キャビン等を作っている。当時の艦内の喧騒が想像できるようだ。作品展までにスターンの完成を目指している。
実船は1794年に建造された英国の38門フリゲート艦。このクラスのフリゲートは使い勝手に優れていたので多数が建造された。1815年オランダ海軍に売却された。1839年に乾ドック内で出火し生涯を閉じた。
26-27 ハンター
Hunter
1797 イギリス
1/54 スクラッチビルト
松本善文 Yoshifumi MATSUMOTO
第3作目にしてスクラッチビルトに挑戦。図面はマモリのキットのものを拡大して利用した。将来作りたい船のために技倆を蓄積する必要があり、以前キットで作ったことのあるこの船を選んだ。未熟と粗雑な技倆のためにすべてが苦心の連続で、例えば左右が対照になっていなかったりして作り直した。船尾装飾も粗い作りになってしまった。その後の勉強で幾多の問題点も見つかったが、「とにかく作り上げること」という教えを思い出して頑張った。
26-28 ハンター
Hunter
1797 イギリス
1/48 スクラッチビルト
堀川 冽 Kiyoshi HORIKAWA
マモリ社の1/72の図面を1/48に拡大して作った。大砲以外はすべて自作した。図面交差の厳密な管理の後で1797年当時の製作技術を想像して可能な限り手作りの味を再現した。木材の色調、目に訴える親しみ、組み合わせた木材のハーモニーが今回の作品のテーマとなっている。
ハンターは1本マストのカッターである。カッターは小型で頑丈な船体に比較的強力な武装を持ち、沿岸警備その他、各種の任務に多用された。
26-29 コンスティチューション
Constitution
1797 アメリカ
1/93 マモリ社
大石将司 Shoji OISHI
船底の銅版張りをぜひ実行したいと考えていたが、キットの銅版もどきの木片は気に入らず、いろいろテストの途中で水張りテープを進められ、これを採用。ただし、4mm幅のテープの作成と鋲頭を表わす点線の穴打ちに苦心した。その後、竹内氏に同氏が開発した方式を教えていただいたが既に間に合わず、次にトライすることにした。前の作品展には船体のみ完成出品。その後、上部デッキより上のリギングに入ったが、結び目が非常に多く、その作業とロープの張り調整に大変な労力を要した。