第2章 組織基盤の確立期(1985-1994)

1975-1984

1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994

1995-2004

2005-2014

2015-2024

発足10年を経過したザ・ロープも順調に歩みを進めます。18年目の1993年には会員数も80名を超え、会報『ザ・ロープニュース』を定期発行します。情報の伝達、ベテラン会員の技術の紹介などを通じて、会員の知識・授術の向上をはかり、会員相互および国内外の同好会と親睦交流する機会を得る端緒になれば(栗田善一郎会長)」との狙いですが、いま振り返ると、会の活動の記録はここから始まっているともいえそうです。

 


 

1985 昭和60

10th

1/15-2/2

第10回ザ・ロープ帆船模型展1985

青い海の上を白い帆を張って走る帆船に憧れ、その夢を模型の船に託した人々が集まって「ザ・ロープ」を設立してからもう10年の歳月が流れた。この会の設立の準備のさなかに第1回の展覧会を開いたのが昭和51年の1月であった。

会の設立と展覧会の開催という二つの仕事をほとんど同時に行うことになったため、当時の幹事は大変な忙しさであった。会の設立もわからないことも多く苦労したが、第1回の展覧会はどこにどの様な作品があるかわからないまま方々に連絡して模型を集め台の上に並べたときはホッとした安ど感と涙の出るような感激を覚えたものであった。展覧会が始まってみると予想を超えて沢山の方が見に来られたのに驚き、伊東屋の関係者の方々と共に大変喜んだのを昨日のように思い出す。

このようにして出発した展覧会もその後毎年1月15日からこの銀座のギャラリーで開かれ、今年は第10回目を迎えることができた。初回の爆発的ブームから次第に安定して今では銀座の名物の一つになりつつあると思っている。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 

1986 昭和61

11th

1/15-2/1

第11回ザ・ロープ帆船模型展1986

 出品数52点。会員数60名超。

帆船の歴史がない我々にとって17世紀から19世紀の模型を作るのは色々と苦労をする。 背骨の様なキール材の上に肋骨の様なフレーム材を乗せ、これに細い板材一枚一枚貼ってゆくので本体を作るだけでも手間のかかる仕事である。それにマストや細かい部品を一人でコツコツ作ってゆくのである。それだけでなく木屑を家中にばらまいたり、塗料の臭気で家族から文句を言われたり苦労もまた多いのである。このようにして作られたものは完成した時の喜びもひとしおで、右から見たり左から見たり、ひとりで悦に入っている。家族も感心してくれるし、ついほかの人に見せて自慢したくなる。このような作品を集めたのがこの展覧会でこんな苦労を想像して作品を見てください.。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 

1987 昭和62

12th

1/15-1/31

第12回ザ・ロープ帆船模型展1987

 出品数47点。会員数60名超。

12余年前、事務所の一郭で産声をあげたザ・ロープも今年で12回目の展覧会を開くことができました。これは会員の人たちの努力の結晶であることはもちろんですが、会場を貸していただいたり、その他、いろいろな援助をしていただいている伊東社長をはじめとする伊東屋の皆さんのご厚意によることが多く、またご来場の皆様方のご鑑賞をたまわり、会として深く感謝をしております。

私達は広く青い海の上を風をはらんだ白帆を広げて光る美しい帆船に魅せられて模型作りをはじめました。そしてその後何隻か作り、また本を読んだり図面を見たりしていると、本物の船はその国のその時代の最高の技術を駆使して建造されたものが数多くあることがわかってきます。

このような優れた船の模型を実物にできるだけ近づけ丁寧に作ろうとすると、製作の期間が次第に長くなり始め1年くらいでできたものが1年半、あるいは2年を要するようになり、展覧会に未完成の作品が出品されるようになってきます。また展覧会にはできるだけ多くの完成した作品を集めなければならないので、作品を集めるのにいろいろと苦労があるのです。こんな苦労のあることも知って作品をご覧ください。(内藤秀夫会長)

 

案内はがき捜索中
案内はがき捜索中

 

1988 昭和63

13th

1/15-1/30

第13回ザ・ロープ帆船模型展1988

 出品数48点。会員数60名超。

帆船を「きずな」に、また貴方方にお会いできまして本当にうれしく思います。ザ・ロープ会員も早や70名を超える程になりました。毎年ここに並んでいる帆船は全部「今年こそは、うんと素晴らしく自分に恥じない船を」と思いつく限りの全力投を込めて製作し、出来上がった船ばかりです。中にはまだまだと思われるものもあるでしょうが、製作を2,3回重ねるとアッと驚くほど上達されることに間違いありません。貴方も時間を割いて始めてみませんか。私たちは喜んでお手伝いいたします。(内藤秀夫会長)

 


 

1989 平成1

14th

1/15-1/28

第14回ザ・ロープ帆船模型展1989

出品数51点。会員数70名超。

今年も1月がやって来て「ザ・ロープ」の作品展が始まりました。早いもので今回で14回目を迎えております。このように永く続けられたのも皆様の暖かいご声援のたまものであり、後援をいただいている伊東屋さんのおかげであると会員一同、大変感謝いたしております。また、こうして永く続けていますと、皆様から「とても楽しみにしているよ…」などと声をかけられることもあり、出品者一同の制作の励みとなっています。

(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 

1990 平成2

15th

1/15-2/2

第15回ザ・ロープ帆船模型展1990

出品数54点。会員数70名超。案内ハガキが4色カラー印刷となる。入場者数は10,042名を記録。

青い海に白い帆をあげて走る美しい帆船を夢見て発足した「ザ·ロープ」の展覧会も今年で15回になりました。思い出してもよく続いたものだと感心しています。

伊東屋の方々の御厚意によってこの会場で開く事になつた昭和51年の第1回の展覧会の時は、会員の数も少なく展覧会をどのようにしたら出来るかも分からないまま、作品を集めるのに苦労し、どうやら無事に展覧会を開き沢山の方が見にこられた時は本当に涙の出るような喜びでした。

その後会員の数も次第に増して今では70名を越し、又船に就いての知識もついてだんだんと立派な作品も出てくるようになりました。その間大きなトラブルもなく無事に今日まで続けられましたのは伊東屋の方々の絶大な御援助によるところが大きく私共も深く感謝しております。お陰様で回を重ねて15回になりますとこの展覧会も銀座の風物詩であるばかりでなく日本の各地から見に来られる方も多く、今では帆船模型について日本で一級の展覧会になつたと自負しています。

 


 

1991 平成3

16th

1/15-1/29

第16回ザ・ロープ帆船模型展1991

 出品数48点。会員数80名超。

この展覧会も今年は48隻の作品を飾って無事に16回目を開く事が出来ました。

これは会員の方々の精進は勿論のことですが、伊東屋の皆さんや会場に見にきて下さる方の御陰と深く感謝しており、本当に有り難く厚く御礼を申し上げます。

この会は一時のような帆船模型製作のブームの去った後も毎年着実に発展して今年は会員の数も80名になりました。

帆船の模型は作り始めると段々と深く入り、色々な知識がつくと共に細かく正確に作るようになって立派な作品が出来て来ますが、この会はあくまでも趣味の会として運営をしていますので作品には等級をつけず、作り方も自由で、作品よりも作り方を通して会員相互の懇親を主体にしています。一年に一度のこの展覧会はその意味でも私達が大変に楽しみにしている機会なのです。


7/25-

ザ・ロープ・オーサカ『帆船夢工房 世界の帆船精密模型展』に協力出品

ザ・ロープ・オーサカ『帆船夢工房 世界の帆船精密模型展』に横浜帆船模型同好会と併せ奥村,白井,竹内,津久居,坪井,正垣,宮島等8名が34作品を出品.総出品者数58名、出品総数144隻の大規模なものとなる。

 

 

 

 


 

1992 平成4

17th

1/15-1/30

第17回ザ・ロープ帆船模型展1992

出品数54点。新装なった伊東屋ギャラリーで開催。

会員数82名。

今回の帆船模型展は会員と同好者の作品の他に、製作途中の帆船模型を展示しました。製作のプロセスをご理解いただく一助になればと考えておりますので、ご不明な点がありましたら会員にお尋ねください。

皆様の模型製作の動機となり、ザ·ロープに入会される方が多くなれば、この上ない幸せです。これからも皆様に愛され、期待されるザ·ロープになるよう一層努力をいたしますので今後もご支援の程よろしくお願いいたします。(「ザ·ローブ」会長 栗田善一郎)

 


 

1993 平成5

18th

1/15-1/30

第18回ザ・ロープ帆船模型展1993

出品数52点。会員数82名。

 
 

この帆船標型展はザ·ロープ会員と同好者の作品を展示しております。製作方法等に関するご質問、その他ご不明な点がありましたら会員にお尋ねください。

皆様の模型製作の動機となり、ザ·ロープに入会される方が多くなれば、この上ない幸せです。

(「ザ·ローブ」会長 栗田善一郎)


8/24

会報『ザ・ロープニュース』創刊

B5判6ページ.モノクロでスタート。編集は主に白井会員が担当。以降12年間は幹事全員が協力しコピーしてポストに投函。

 

「この度、ザ・ロープのニュースを定期的に発行することにいたしました。いろいろな情報の伝達と、ベテラン会員の技術の紹介などを通じて、会員の知識・授術の向上をはかり、会員相互の親睦と交流に幾らかでも役立ち、併せて新しい会員の入会と、国内外の同好会の皆さんと交流する機会を得る端緒になればこの上ない喜びだと思っております」

(ザ・ロープニュースの発行にあたりー会長 栗田善一郎)

ザ・ロープニュース創刊号
ザ・ロープニュース創刊号

10/17

伊東屋と共催で第1回帆船模型講習会 

「船体の作り方 ー初歩から中級まで」

講師の竹内久さんは、豊富な経験に基づき、8頁にもわたるレジメを用意すると共に、制作の各ステップを表した模型を5隻も詩参。竹内さんの講演は手憤れたもので白井さんも黒板を使い竹内さんの解説に合わせた図を描くなど全舷的に初心者にも分かりやすい解説。伊東屋は会議室を特別に開放。出席者は会員22名、会員外24名はザ・ロープ会員予備軍。(ザ・ロープニュースNo.2)

 


12月

 

 

 

MODEL SHIP BUILDER誌に第18回ザ・ロープ展をレポート 高い技術レベルを評価する一方で課題も指摘

世界最大の帆船模型雑誌"Model Ship Builder"1993年11/12月号に第18回帆船模型展をフォンチノーイ氏がレポートし、雑誌の表紙と巻頭記事を飾る。内容は単なる紹介記事というよりは、深い知識と永年の経験に基づく優れた論文で一読に値する。

日本のモデラーが直面している問題は、1)語学の障害(特に海事関係の技術用語について) 、2)資料不足、3)職業的に帆船関係の資料とは無縁、と指摘。結果として日本のモデラーは独自の謁査を必要とする帆船を選ぶよりは、既に徹底的に詞査され出版されているプードリオやアナトミーシリーズといった書物に頼らざるを得ない。その結果完成した模型の正確さはその書物の質に依存してしまう。

日本で製作された模型の技術レベルは高くアメリカのクラブメンバーの平均水準より数段上。ただ、構造上やリギンの細部における間違いはアメリカで通常見られる誤りより多い。

☆宮島さん「ワサ」・・・「注目に値する模型」として第一番に記述している。 この模型は彼の家から出せなくならないよう3つの部分に分けて製作している? 彼は優れた彫刻家であり、その事がワサの製作にあたって成功している。

☆坪井さん「ハリファックス」1/300・・・一番小さな注目すべき作品がある。船体は大変小さいながら、その構造は何とブランク・オン・フレームである。 この模型は瑳めて請巧としか言い様がない。彼の工作の質は極めて高く、私が今まで見て来たアメリカのプロの作品、例えばミスティック・シイーポートの 博物館にあるような作品より優れている。・・・(ザ・ロープニュースNo.3)

 


 

1994 平成6

19th

1/15-1/30

第19回ザ・ロープ帆船模型展1994

出品数51点(会員34点、会員外11点のほか、福島帆船同好会から特別出品が5点)。会員数87名、入場者数7,432名。

各地のザ·ロープの皆さんや同好会の方々がたくさん来場されたほか、共同通信社からの取材があった。会期中の第2回帆船模型製作講習会(別掲)や休日の小林会員による実演はいづれも好評であった。最も印象的であったのは、1月29日の伊東屋さんのご厚意によるクロージィングパーティーの席上、同社の塩沢取締役から「伊東屋の続く限りこの帆船模型展は続ける」とのお言葉をいただいたことである。ザ·ロープとしては百万人の味方を得た思いであり、出席会員に強い印象を与えた。ご期待を裏切らないよう一同頑張りたい。(ザ・ロープニュースNo,3)


3/25-3/27

アメリカの展示会(WSMC&E)に出品、世界のミヤジマ」、「世界のツボイ」に踏み出す第一歩

アメリカのShip Modelers Association(SMA)が主催する Western Ship Modelers Conference & Exhibit 第1回にザ・ロープより6名(栗田,東,宮島,坪井,野上,岩波各会員)が参加。Queen Mary号で開催された展示会には 坪井,宮島両会員が出品。大変な関心を呼び「世界のミヤジマ」、「世界のツボイ」に踏み出す第1ステップとなった。さらに特筆すべきは東康生氏の活躍である。氏は完成したはかりの第19回帆船模型展のアルバムを持参し、得意の英語と優れた国際感覚で参加メンバーに紹介、ザ・ロープの名を高めてくれた。(ザ・ロープニュースNo.4ー栗田善一郎会長)

-------------------------

アメリカの帆船模型の会を見ると、東海岸が中心のようで、なかには南北戦争直後に設立 という古い歴史を誇る会もあるが、その殆どは設立20年前後ということだった。 今回、展示講習会を開き私たちを招待してくれた「シップ・モテラーズ・アソシエーシ ョン(SMA)」は、1976年設立というから、今年で18年目、メンバー数は122人、 数の上ではアメリカ最大のクラブだという。1973年ある模型店が開店祝いに近所の模型好きを招き、パーティーを開いたのが縁で、以来毎月、製作途中のモデルなどを持ち寄っての模型談義の集まりが、やがて会に発展したものだそうだ。

私事を振り返ってみると、初めてビリングボート社のキットに出会ったのが1968年、 アムステルダムでの事。夢ふくらませ、重いカメラバッグにあえぎながらキットの大きな 箱を抱えて掃った。以来、旅に出ると必ず模型店をのぞくようになった。日本で初めてヨー ロッパ製帆船模型キットを見たのは大阪在勤中で万博の年、1970年のことだ。大丸デパー トの模型売り場だった。東京に戻って一人シコシナ船造りをやっていた私に「ザ・ロー プ」設立の話が転がり込んできたのが1975年のこと。 こうして時を追って見るとアメリカの仲間たちも同じ頃、同じ思いで造船着 に励み、 同好を募り今日があるのかと思うと、洋の東西に関係なく「結局、俺たち同じ仲間だな・・・」。 モデラー気質が見えて面白く、ひとり笑いがこみあげてくる。

(ザ・ロープニュースNo.6『帆船仲間は皆同じ』(東康生)



 42-27 オランダ海軍省の造艦会議  1:33  坪井悦朗 TSUBOI Etsuro
42-27 オランダ海軍省の造艦会議  1:33  坪井悦朗 TSUBOI Etsuro