第1章 手探りの黎明期(1975-1984)

1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984

1985-1994

1995-2004

2005-2014

2015-2024

1975年に銀座伊東屋の帆船模型売場での仲間の出会いをきっかけにして生まれたザ・ロープは翌年1月に第1回展示会を開催します。手探りの状態で模型を集めて大変な苦労の末、開催に漕ぎつけたときの様子は、出品リストなどからうかがい知ることができます。その後は展示会の毎年開催へ、模索をしながらもあゆみ始めた時期でした。

 


 

1975 昭和50 

 

 0th

 10/3

ザ・ロープ発足

銀座伊東屋 帆船模型売場に集う7人の仲間

思えば、1975年、転勤先の大阪から東京に帰ってきたばかりの私に、帆船模型造りの仲間を紹介してくれたのが、大学以来の友人の西嶋君で、つれて行かれたのが、銀座・伊東屋の模型売場だった。当時の売場には一寸した応接セットが置いてあって、そこの常連が津久井、草野、竹内、やがては白井君も加わり、当時は知る人ぞ知る存在でしかなかった帆船模型談義の花が咲いていた。そんな輪に社長からの紹介で、模型売り場主任の塩澤君(その後、伊東屋の常務になる)を通して、店のお得意様だった奥村さんも加わり、7人の仲間ができた。

当然ながら、帆船模型造りの楽しさを語り合うばかりでは面白くない。造り貯めた作品を集めて、展覧会ができないものかと言う話になった。そのためには母体となる会を作らなくてはと生まれたのが「ザ・ロープ」で、1975年10月3日に会則をつくって発足した。

ー東康生( エッセイ集『ザ・ロープ事始め』

 

サンデー毎日 1976年2月1日号3000号記念号のグラビア ”われら仲間”
サンデー毎日 1976年2月1日号3000号記念号のグラビア ”われら仲間”

シンボルマークは「束ねたロープの輪」で会員のデザインによる

3月10日 山陽新幹線 岡山‐博多開業

4月30日 ベトナム戦争、サイゴン陥落


 

1976 昭和51 

 

 1st

1/18 -2/8

第1回ザ・ロープ帆船模型展1976 

マスコミ報道で予想を遥かに超える大盛況


盛況だった第1回展覧会の会場風景
盛況だった第1回展覧会の会場風景

銀座伊東屋の7階展示場において主催 ザ・ロープ、協賛 株式会社 伊東屋、後援 船の科学館で開催。出品数80点。8,500人の入場者を記録。

 

 

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それにしても当時 11人でしかいない。作品数は23隻しかない。そこに伊東屋の全面協力と帆船模型を輸入元である木下通商が全国の帆船模型愛好家に呼び掛けをしてくれた。その効果は絶大で、たちまちにして大阪、名古屋、九州、北海道からも声が上がり、船が集まった。これが1976年の第一回展の始まりである。

ー東康生( エッセイ集『ザ・ロープ事始め』


第1回帆船模型展の様子を伝える伊東屋社内報
第1回帆船模型展の様子を伝える伊東屋社内報

1月18日から3週間、新設された銀座伊東屋7階展示場で、当社初めての展示会として、帆船マニア・グループ「ザ・ロープ」が“男のロマン・第1回帆船模型展”を開催した。出品者40名。作品数は実に80隻。全国で初めての催しだ。

7階というハンディと帆船模型という特殊な催しだけに若干の懸念はあったが、いざ開いてみるとマスコミ関係、一般来客で大賑わい、実に8,500名の来場者となった。遠く関西、東北から泊りがけで訪れた方も多くキットを購入して帰られた。ソニー会長の井深大氏、作家の早乙女貢氏、イラストレーターの柳原良平氏、俳優のE H エリック、森繁久弥氏や日本丸船長の橋本進氏などが来場された。(伊東屋社内報より)

ー東康生( エッセイ集『ザ・ロープ事始め』

 

この度ザ・ロープでは第1回帆船模型展を開催することになりました。最近は帆船ブームという言葉をマスコミなどで見る機会が多くなりました。人類が作り出した最も美しいものといわれる帆船は失われゆくものに対する郷愁も手伝って人々をロマンの世界に誘ってくれます。 

海や帆船に関心が高まると共に、外国から帆船模型のキットが輸入されるようになり、わが国においてもその愛好者が増えています。それらのキットは木材を主材とし手作りで作られるもので、時間と努力をかけることにより、時には芸術的といえる程の素晴らしい作品ができ上ります。欧米では帆船模型はキングズ・ホビーといわれるように長い伝統と極めて層の厚いファンに支えられていますが、日本では最近ようやく注目されるようになりました。しかし幸いにもこのところ各方面の努力により、その愛好者が急速に増えているのは、私たちマニアにとり誠に喜ばしいことだと思います。

(第1回展案内状より 草野和郎会長)

 


 

1977 昭和52 

 

 2nd

1/15 -2/30

第2回ザ・ロープ帆船模型展1977

出品数66点。銀座伊東屋の7階展示場で開催。

伊東屋社長伊藤恒男氏の作品、元日本丸船長橋本進氏の作品、ザ・ロープ オーサカより 8作品、宮沢模型、今井科学、不二美術からも出品。

最近は、アメリカ建国200年を記念して開催されたオペレーション・セイル76などの影響もあって、帆船への関心は一段と高まってきました。NY港に集結した世界の大型帆船は、私たちに帆船の美しさを改めて認識させてくれたようです。

しかし、それらの帆船もやがて消えゆく運命にあります。かつて自然と共存し七つの海を舞台に歴史を築いた”彼女たち”は再び主役の座に戻ることはありません。…失われゆく者への哀惜の念が人々の帆船に対する慕情に似た気持ちを一層強めるのかもしれません。(草野和郎会長)

 

7月 日本初の静止気象衛星「ひまわり」打ち上げ


 

1978 昭和53 

 

 3rd

1/15-1/28

初めて登場した作品リスト
初めて登場した作品リスト

出品数65点。銀座伊東屋の7階展示場において主催 ザ・ロープ、協賛 株式会社 伊東屋、後援 船の科学館で開催。初めて模型展の案内ハガキとA4版の「出品リスト(作品カタログ)」と解説が作成される。

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かつて「帆船時代」と呼ばれた時代がありました。それは海がもっと青く、空がもっと澄んでいた頃のことです。世界にはたくさんの帆船が活躍していました。それらの帆船は、自然の猛威と戦い自然と共存しながら七つの海を舞台に世界の歴史を築いてきたのです。しかし、帆船の時代はもう随分過去のものとなりました。現在、練習船などでわずかに残っている帆船もやがて消えゆく運命にあります。これは私たち海と帆船を愛する者にとって、とても残念なことであります。

ザ・ロープでは帆船に対するあこがれを模型に再現してみました。当会は発足以来、毎年作品展を開催しており、今回はその3回目にあたるものです。欧米では帆船模型は「キングズホビー」と呼ばれるように、長い伝統と極めて層の厚いファンに支えられていますが、わが国では比較的新しい分野です。しかし、ここ数年来、帆船模型を作る人が急速に増えているのは、私達帆船モデラーにとって喜ばしいことであります。(作品リストより 草野和郎会長)

 

 5月 新東京国際空港(成田)開港

 9月 東芝が世界初の日本語ワープロJW-10を発表


 

『世界の帆船模型 キングズホビー入門』発刊 ザ・ロープ会員と作品が紹介される

朝日新聞社より「世界の船別冊 世界の帆船模型 キングズホビー入門」が発行される。日本では初の帆船模型の専門的なガイドブックとなる。本書の「模型の仲間たち」でザ・ロープの会員とその作品が紹介される。ザ・ロープ、ザ・ロープ・オーサカが編集に協力。


 

1979 昭和54

 

 4th

1/15-1/27

第4回ザ・ロープ帆船模型展1979

出品数59点。会員数43名。

銀座伊東屋の7階展示場において主催 ザ・ロープ、協賛 株式会社 伊東屋、後援 船の科学館で開催。

かつて『帆船時代』と呼ばれた時代がありました。それは、海がもっと青く、空がもっと澄んでいた頃のことです。世界にはたくさんの帆船が活躍していました。それらの帆船は、自然の猛威と闘い、自然と共存しながら七つの海を舞台に世界の歴史を築いてきたのです。

しかし、帆船の時代は、もう随分過去のものになりました。現在、練習船などでわずかに残って入っる帆船も、やがて消えゆく運命にあります。これは私達海と帆船を愛する者にとって、とても残念なことです。ザ・ロープでは帆船に対するあこがれを模型に再現してみました。(作品リスト 草野和郎会長)

 

7月 ソニーがWalkman発表


 

1980 昭和55

 

 5th

1/13-1/27

第5回ザ・ロープ帆船模型展1980

出品数44点。会員数45名。

銀座伊東屋の7階展示場において協賛 株式会社 伊東屋、後援 船の科学館を得て開催。

文豪ビクトル・ユーゴーは「帆船は人類の創造したものの中で最も美しいもの」といったそうです。確かに青い海に真っ白な帆を張った帆船の姿はすばらしいの一言に尽きます。古くから帆船を”彼女”と女性名称で呼ぶのも、もっともなことだといえるでしょう。

しかし、帆船が活躍した時代はもう随分昔のことになりました。現在、練習船などでわずかに残っている帆船もやがて消えてゆく運命にあります。これは私たち海と帆船を愛する者にとってとても残念なことです。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 

1981 昭和56

 

 6th

1/15-1/31

第6回ザ・ロープ帆船模型展1981

出品数52点。会員数46名。この年から会場は伊東屋9階に開設されたギャラリー(20坪)となる。

このところ、帆船模型を作る人が大変増えてきました。わずか10年ほど前まではわが国ではほとんど知られていなかった趣味ですが、今では若い人からお年寄りまでファン層は随分厚くなっています。模型にはあまり関心を示さない若い女性たちにも、なぜか帆船模型だけは人気があるようです。そのどこかロマンを秘めた雰囲気がお気に召したのでしょうか。それともあわただしく追われているような現代社会の中で、時間をぜいたくに使った手づくりの温かさに、心がなごむからでしょうか…。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 

1982 昭和57

 

 7th

1/15-1/30

第7回ザ・ロープ帆船模型展1982

「作品展は冬の銀座の風物詩の感…」との便り

出品数48点。会員数60名。ザ・ロープ・オーサカ中島寛治氏より出品される。

7回も続けていると、開催を楽しみにしていてくださる常連の方もたくさんおられます。そんな方のお便りの中に「この作品展は冬の銀座の風物詩のように感じます」などと暖かい励ましもありました。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 

 

 6月東北新幹線大宮ー盛岡

11月上越新幹線大宮ー新潟開業


1/15

東 康夫・竹内 久 共著『帆船模型』

(保育社カラーブックス)が出版

東 康夫、竹内久両会員の共著として、保育社より『カラーブックス573 帆船模型』が発行される。ザ・ロープ会員のみならず国内の同好会会員による作品の写真集と帆船模型の工作の具体的な手順を解説。

 

 


 

1983 昭和58

 

 8th

1/15-1/29

第8回ザ・ロープ帆船模型展1983

出品数44点。会員数60名。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案内ハガキ捜索中*お心当たりのある方は事務局までご連絡ください!
案内ハガキ捜索中*お心当たりのある方は事務局までご連絡ください!

 

1984 昭和59

 

9th

1/15-1/28

第9回ザ・ロープ帆船模型展1984

出品数49点。会員数60名超。

かつて地中海が世界の海と云われた時代、船が帆を張って走り回ったのは今から五百年位前のことでした。その後、帆船は大洋を航海できるようになり、次第に発展して所謂「大航海時代」となり、多くの船が西に東に航海をしました。そして発達した帆船は「人類が創造したものの中で最も美しいものだ」と云われるようになりました。私たちはそれらの歴史に思いをいたし、その美しさに惹かれて帆船を模型に再現しようとして時間をかけて作品を作りました。(作品リスト 内藤秀夫会長)

 


 42-27 オランダ海軍省の造艦会議  1:33  坪井悦朗 TSUBOI Etsuro
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