Photo Gallery of the 27th Annual Exhibition 2002
一般参加(ザ・ロープ会員以外の方)の作品の帆船
特別出品 故竹内久氏「思い出の作品」
昭和50年10月のザ・ロープ創設メンバーの一人であり、以来昨年まで幹事として会の運営に神領された竹内久氏は昨年7月2日に永眠された。竹内氏と云えば、正確な船体工作と繊細なリギングで知られるとともに、火で焼いた銅板を使う船底の銅板貼り、簡単で正確なゴートの製作作法、同じく正確な工作を可能にする工作用船台、そしてすっきりしたセールの作り方等々、氏が開発された工作技法は数限りない。また、絶えず帆船模型の普及ということを念頭に活動されていた。氏のご逝去は我が国の帆船模型分野にとっての極めて大きな損失である。この展示会ではご遺族のご了解を得て、氏の代表的作品を展示させていただくこととした。
27-59 スピネル
1809年 イギリス
1/48 スクラッチビルト
竹内久 Hisashi TAKEUCHI
平成12年の春、約2ヶ月の入院中にベッドの上でフリーハンドにて縮図を描き、退院後、その図面に基づき作ったのが『スピネル』。同船は1809年に進水した英国海軍のトプスルスクーナーで哨戒、沿岸警備等いろいろな任務に使われた。ただし、スピネルが実在したという記録はない。すなわち設計は竹内氏のオリジナル、架空の船であるが、図面とあまり違わない姿で当時実在したとしてもおかしくないという、当時の船の基本原則を守った設計となっている。
氏はさらにスピネルをベースにして「宝石クラス」を設計した。そのネームシップが「ルビーⅡ」。こちらは線図や一般配置図、帆装図等が10枚一組となったもので、それを見ればスクラッチビルトで作れるようになっており、全国の同好の方々に配布されていた。「宝石クラス」とは誕生石に因んだ名前の12隻の姉妹艦で構成されることになっていた。しかし残念ながら、これら12隻の建造は全国の友人に委ねられることになってしまった。
27-60 ブルボン王朝の74門艦
1780年 フランス
1/72 スクラッチビルト
竹内久 Hisashi TAKEUCHI
ザ・ロープ創立間もない昭和51年頃、西洋帆船研究科の山形欣也氏のお宅でJ.プードリオの大著「74門艦」を拝見したのが製作のきっかけとのこと。構想2年の後、制作に着手。13年の歳月をかけて完成した竹内氏の代表的大作。この船の制作過程では船底の銅板貼りの研究用に別の小型艦を作ったり、艦尾の手摺りの工作や大砲の鋳造、縮尺のあったロープの確保等に難渋し、何年も中断したことも合った。そして最大の難関は2千ページに及ぶフランス語の解読。結局、リギングはお手上げで後に同書の英語版を購入し完成に至ったという。
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