第27回ザ・ロープ帆船模型展 (2/5)

Photo Gallery of the 27th Annual Exhibition 2002

18世紀の帆船


27-16

ル・ルカン Le Requin

 

1750年 フランス

1/48 スクラッチビルト
中園利孝 Toshitaka NAKAZONO


ルカンとは鮫(サメ)のことで、この船は3枚の三角帆を持ち、地中海を快走したケベック船。模型はフランスのJ・プードリオが描いた縮尺1/48の超精密図面を正確に再現したもので、船体と甲板の釘打ちは1万本以上になった。縦帆でヤードが3本しかなく、滑車やリギングも少ないのに加え、帆を取り付けないことにしたのでマスト上部の空間が寂しい。そこでヤードを1本取り付け、樽を荷役中の姿にしてみた。

 



27-17

ミスティーク Mystique

 

1750年 フランス

1/50 コーレル社
貝羽心一


この船はマルセイユの造船所で造られ、19世紀初頭まで使われたケベック船で、フランス博物館に模型が展示されている。三角帆と四角帆を持ち、所謂ポラッカ・ジーベックとも云われる。交易に使われた商船であるが、自衛のため砲18門を搭載していた。模型では桃割れ型の船尾外板は思うように張れず、また塗装は木地が出るようにクリアラッカーを数回塗り重ね半つや消しに。また、帆も風を受け膨らんだようになるよう、いろいろ苦心した。容易にうまくいかないのがまた楽しいものです。



27-18

ベローナ Bellona

 

1760年 イギリス

1/100 コーレル社
久保田栄一 Eiichi KUBOTA


英国の74門戦列艦の一隻で、ナポレオン軍との戦闘に参加。40年余使用された。この頃の英国の造船技術は世界一と評価されており、中でも2層デッキの74門艦は理想的な艦で、操船もしやすく海軍の中枢勢力として多くの同型船が造られた。コンウェイ社出版のアナトミーシリーズにある同船の本を参考にして構造模型とし、舵輪と舵を連動させたり、ポンプも作ったが外からは見えなくなった。



27-19

ボンホーム・リチャード Bon Homme Richard

 

1761年 アメリカ

1/64 スクラッチビルト
加藤史郎 Shiro KATO

 

この船はフランス東インド会社の解体によりアメリカの軍艦になり、英国からの独立戦争でジョン/ポール・ジョーンズの旗艦として活躍した。英国フラムポロ―沖での海戦では4時間の激戦で英国艦セラピスを降伏させた。J・プリドオの精密は1/48図面を1/64に縮小して、図面どおりのストラクチャーモデルにした。造船所の船台を精密に再現したため、建造から進水までのメカニズムが良く理解できた。このメカニズムはイギリス、フランス、オランダなど国により異なっていた。



27-20

ビクトリー Victory

 

1765 イギリス

1/48 スクラッチビルト

白井一信 Kazunobu SHIRAI


1805年のトラファルガー海戦で英国ネルソン提督の旗艦として活躍した104門砲戦列艦。この一年間は繰り返し作業の連続であり、船体の製作で最も辛い時期だった。デッドアイは200個を黒檀の丸棒から削り出し、そのチェーンの輪約210個とハンモックネットの支柱約80本は真鍮線から作った。ハンモックネットはインターネットで網の卸屋さんを探し、やっと見つけ出した。ロワーマストまで作って完成の予定なので、これからはあまり苦労しないで楽しみながらできると考えている。



27-21

ビクトリー(カットモデル)

Victory

 

1765 イギリス

1/96 スクラッチビルト

小田衛 Mamoru ODA


英国を守った英雄3人(*)のうちの一人ネルソン提督が、トラファルガー海戦で戦った時の旗艦で砲104門第一級戦列艦。この旗艦は12年前に出品したものだが、マスト、ヤードおよびロープをすべて取り外して、船体塗装からやり直した。面倒な作業であるが、お色直しでどこまでリフレッシュするか期待しながら進めた。

(*)あとの二人はウェリントンとチャーチル。



27-22

ビクトリー Victory

 

1765 イギリス

1/300 スクラッチビルト

坪井悦郎 Etsuro TSUBOI


このミニチュアと作り始めたのは十数年前のこと。船体を製作している頃、イギリスに保存されている本物のビクトリーを見に行き、自分の船にがっかりしてストップしてしまった。数年のブランクの後、1/300シリーズの中の100門艦と位置づけて製作を再開した。制作再開にあたっては、まず0.04~0.05ミリのロープを撚るための器具を作ることが大変だったが、なんとかクリアできた。またデッドアイの下の多数のチェーンにも苦労した。



27-23

アンフィオン Anphion

 

1778年 スウェーデン
1/40 コーレル社

平生数馬


ストックホルムでグスタフⅢ世の王室ヨットとし建造された。その後、ロシアとの戦争では快速を生かして偵察に活躍した。1850年に解体されるまで70年余使われた。金ピカの飾りがついた船を作りたくなり、装飾金具の多いキットの中から選定し、簡単に作れると考えて始めた。船体骨組みの組立で若干の寸法の甘さが命取りとなり、外板張りに苦労した。以後、円材や小部品などは図面に忠実に作ること(当たり前だが)を心がけなんとか完成した。



27-24

ダイアナ Diana

 

1794年 イギリス
1/60 スクラッチビルト

土屋勝司 Katsuji TSUCHIYA

 

英国の砲38門フリゲート艦の多数の同型艦が造られた。1815年にオランダに売却されたが、建造後43年目に火災にあった。コンウェイ社刊アナトミーシリーズの同船のもとにストラクチャーモデル(構造模型)で作った。途中、難関にぶつかり何度か手を休めたが、心を入れ替えて頑張り、3年半の歳月で完成させた。模型はどこまで手を入れていくか、言い換えればどこで自分の技術に行き詰まるか。そして妥協の連続・・・。しかし元気を出さなければ。趣味は楽しむものです。



27-25

コンスティチューション Constitution

 

1797年 アメリカ

1/96 ブルージャケット社

前川政司 Masashi MAEKAWA

 

地球海でアメリカ商船が頻繁に海賊に襲われたために、対抗策として建造した6隻のフリゲート艦の一隻。船体は特産のオーク材を使い、舷側の厚みは90㌢㍍あって1812年の米英戦争では英国艦の砲弾を跳ね返したことからオールドアイアンサイドと愛称されている。ボストン港に係留されていて現役艦扱いになっている。キットはソリッドだが、うまく仕上がらずブランキングに変更した。銅板も貼ったが初挑戦で難しかった。



 42-27 オランダ海軍省の造艦会議  1:33  坪井悦朗 TSUBOI Etsuro
42-27 オランダ海軍省の造艦会議  1:33  坪井悦朗 TSUBOI Etsuro