本書は著名な宮大工の西岡常一氏と農学博士の小原二郎氏の共著です。西岡常一氏は数多くの著書を遺しましたが、中でも「木を買わずに山を買え」とか「塔組みは、木組み、木組みは、木のくせ組み、木のくせ組みは、人組み、人組みは、人の心組み、人の心組みは、棟梁の工人への思いやり、工人の非を責めず、己の不徳を思え」という宮大工の口伝などを紹介する著作は、大会社の経営者や管理職に良く読まれベストセラーにもなりました。この本もその1冊になりますが、筆者が面白いと思うのは西岡氏が書かれた部分よりも、小原氏による科学的な根拠に基づき職人の口伝を学術的見地で解説していることです。これに加えて、我々日本のモデラーが日頃からお世話になっているヒノキについて解説した「ヒノキと日本人」や「ヒノキ考」の章などは、役には立たないかもしれませんが、50年近く前に出版された古書の割には実に新鮮で面白く、エンターテイメントです。ヒノキがより身近なものになります。
帆船模型工作でもヒノキは多くの利点を持つ良材で比較的安価で手に入りますが、これも近未来どうなるかは分かりません。コストと手間をかけてでも適材を探し回ることにもなるかもしれません。木製模型も長く鑑賞するためには、作り方、維持のやり方、手間のかけ方の”3方”が肝要で、コストもかかるということだと思います。
法隆寺を支えた木 西岡常一、小原二郎著 NHK ブックス 1978 年
模型工作部屋や工房は趣味を楽しむ至極の時間を過ごすスペースですが、どのようなスタイルがあるのか?
私は東京都内のマンションの狭い一室を使っており、騒音も出せずで電動工具はルーターのみの手作業が中心。塗装となればエアブラシとコンプレッサーを多用するので、開放したバルコニーにダンボールで塗装ブースを用意して、天候に加えて風向きも見ながらの作業となっています。
本書は、日本のプロのモデラー25名の模型部屋取材をまとめたものです。取材対象は「月刊モデルグラフィックス」誌で活躍するモデラーや造形師で、プラモデル工作が中心となっていますが、それぞれのこだわり具合に加えて、家具、便利グッズなどの紹介もあリます。
同居している家族への理解をどう得るか、どう整理整頓して効率的な作業に取り組むか、マンションの場合の静寂性や臭気防止をどう確保するかなどなど豊富な写真とともにヒントが満載、日本の住宅事情も踏まえた虎の巻の感があリます。
我らが木製帆船模型のモデラーの皆さんもそれぞれの「スタイル」で工作を楽しんでいると拝察しますが、その「スタイル」を格好良くする参考書です。
No | 書籍名 | 出版社 |
1 | 毎日グラフ 1976.5.2 特集「世界の帆船」 | 毎日新聞社 |
2 | 毎日グラフ 1980.7.27 特集「世界の帆船」 | 毎日新聞社 |
3 |
毎日グラフ 1981.8.2 「帆船模型-夏休みに挑戦してみよう」 |
毎日新聞社 |
4 | 世界の艦船 「特集 帆船」 | |
5 | ホビージャパン 「特集 華麗なる帆船の世界」 | Hobby JAPAN |
6 |
ADVEN 昭和52年6月号 「特集漕ぎ出せ!! 我らの海賊船」 |
エルアンドエー社 |
7 | VINCENZO LUSCI ED. NAVI DISEGNI E MODELLI DI NAVI | ルッシーの図面のカタログ |
8 | THERTY WOODEN BOATS Catalog of Building Plans | Wooden Boat Magagine |