J-STAGE/Techno marine 日本造船学会誌/778 号(1994)~824 号(1998)/書誌
発行日: 1997 年 /公開日 : 2018/03/01
本稿は、サン・ファン号の再建にあたった設計監修者の寳田直之助氏が、本船に関係した16世紀17世紀の帆船の調査・検証結果を日本造船学会誌に21回にわたり紹介したもの。豊富な図表を含む全172頁に及ぶ調査結果資料は、帆船模型を製作する上でも参考になる。
平成3年4月に宮城県慶長遣欧使節船復元協会からこの船(サン・ファン・バウティスタ号)の検証と設計の相談があったが,残された資料が極めて少なく,これだけでは到底復元することは出来ないし,2年半で完成しなければならないので,調査検討の時間もない状態であった。乏しい資料で復元するとなれば,当時の欧州の帆船の一般的な傾向を求め,残された資料を部分的に当てはめて納得する以外に方法がない。必然的に本船の検証より中世期から近世紀の帆船の解析作業が主となる。本稿の表題を「16世紀17世紀の帆船」とした所以でもある。建造工程から主要寸法の検証と基本設計にとれる期間は3?4月であるので,艤装の詳細は追々実施することにして,先ず主要寸法を検討することにしたが,
手持ちの参考資料だけに頼らざるを得なかったことと,歴史家ではないので,歴史考証の定石も知らない。ただ設計し,物を造るには何を詰めなければならないかといった観点からだけの調査であるから,歴史家から見ればずさんなところも多いと思っている。ただ,現代の船を設計する場合,何気なく使用しているものの原点が認識されたり,材料の乏しい時代の設計者は何を考えたか。これらのことは現代の船の設計に行き詰った時に結構よいヒントを与えてくれる。また復元ばやりの昨今,この様な仕事に関係される会員もおられるだろうから,少しでも参考になればと思い、ずさんなまま報告することにした。
「まえがき」より
資料No | A-01 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船 ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その1) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
まえがき 1. 船体主要寸法等 1.1 サン・ファン・バウティスタ号の記録 1.2 当時の時代背景と主要寸法推定の方針 1.2.1 当時の欧州の時代背景 1.2.2 当時の日本の時代背景 1.2.3 造船手引書がどれだけ役に立つか 1.3 16,17世紀の主要寸法の変遷 1.3.1 主要寸法比の調査 1.3.2 長さの変遷 1.3.3 トン数規則 1.3.4 長さと幅の比 1.3.5 深さ、甲板高、舷弧、キャンパー等 1.4 主要寸法の推定 |
内容 | |
ページ | P20~P28(9ページ) |
資料No | A-02 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その2) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
2. マスト・ヤード等の概要 2.1 マストの構成 2.2 マストの位置 2.3 マストの傾斜 2.4 マストの長さ |
内容 | |
ページ | P61~P69(9ページ) |
資料No | A-03 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船 ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その3) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
2.5 ヤード (Yard) の長さ
3.主要寸法と外形の総合 3.1 主要寸法からの時代設定 3.2 帆装からの時代設定 |
内容 | |
ページ | P52~P59(8ページ) |
資料No | A-04 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船―慶長遣欧使節船の復元に因んで― (その4) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
4.構造様式と部材寸法 4.1 構造様式の変遷 4.1.1 フレーム配置 4.1.2 船底、船側構造の変遷 4.2 部材寸法 4.2.1 Rateと船体主要寸法 4.2.2 フレーム・スペース 4.3 継手と固着の形式 4.3.1 継手 4.3.2 固着 4.4 船舶建造のための資材 4.4.1 一般造船用資材 4.4.2 ねじ釘、ボルトはあったか 4.5 強度 4.5.1 縦強度 4.5.2 横強度 |
内容 | |
ページ | P25~P35(11ページ) |
資料No | A-05 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その5) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.外舷艤装 5.1 舵と操舵装置 |
内容 | |
ページ |
P34~P40(7ページ) |
資料No | A-06 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船 ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その6) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.2 兵装 5.2.1 16,17世紀の欧州の大砲事情 5.2.2 船の大きさと搭載砲 |
内容 | |
ページ |
P12~P18(7ページ) |
資料No | A-07 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その7) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.2.3 砲の配置 5.2.4 砲架
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内容 | |
ページ |
P17~P21(5ページ) |
資料No | A-08 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その8) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.3 係留装置 5.3.1 AnchorとAnchor Cableの小史 5.3.2 Anchorの重量と数 5.3.3 Anchor Cableのサイズと数 |
内容 | |
ページ |
P32~P36(5ページ) |
資料No | A-09 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その9) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.3.4 Anchor, Anchor Cableに付属する係留装置
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内容 | |
ページ |
P43~P49(7ページ) |
資料No | A-10 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その10) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
5.4 マスト艤装の追補 5.4.1 マスト材の構成 5.4.2 マスト各部 |
内容 | |
ページ |
P32~P39(8ページ) |
資料No | A-11 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その11) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
6.内部艤装 6.1 厨房設備 6.1.1 搭載人員 6.1.2 食糧 |
内容 | |
ページ |
P22~P29(8ページ) |
資料No | A-12 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その12) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
6.2 排水装置 |
内容 | |
ページ |
P22~P28(7ページ) |
資料No | A-13 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その13) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
6.3 衛生設備 6.3.1 便所 6.3.2 船医と病室 6.4 居住設備と船内仕切り構造 6.4.1 居住設備 6.4.2 船内仕切構造 6.4.3 曝露部の扉 |
内容 | |
ページ |
P50~P58(9ページ) |
資料No | A-14 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その14) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.船体塗装と装飾 7.1 船体塗装の小史 7.1.1 17世紀以前の塗装 7.1.2 17世紀以降の塗装 7.1.3 Sheathing |
内容 | |
ページ |
P37~P44(8ページ) |
資料No | A-15 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その15) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.2 中世期以降の装飾小史 7.3 船首部の装飾 7.3.1 船首形状と船首像 |
内容 | |
ページ |
P68~P74(7ページ) |
資料No | A-16 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その16) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.3.2 船首像のモチーフ 7.3.3 像の材質 7.3.4 キャットヘッドとレール |
内容 | |
ページ |
P37~P43(7ページ) |
資料No | A-17 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その17) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.4 船尾部の装飾 7.4.1 船尾部装飾一般 7.4.2 船尾楼の形と装飾の変遷 7.4.3 船尾灯 7.4.4 舵関係の装飾 |
内容 | |
ページ |
P17~P26 |
資料No | A-18 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その18) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.5 船央部の装飾 7.5.1 時鐘と艢楼 7.5.2 Hancing Pieces 7.5.3 Channel (チャンネル) |
内容 | |
ページ |
P35~P46 (12ページ⁾ |
資料No | A-19 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その19) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
7.5.5 Chesstrees 7.5.6 Port 7.5.7 船央内部部の装飾 7.5.8 帆の装飾
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内容 | |
ページ |
P33~P42(10ページ) |
資料No | A-20 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その20) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
8.船価 8.1 船体の価格 8.2 艤装の価格 8.3 大砲関係の価格 8.3.1 大砲 8.3.2 弾丸 8.3.3 火薬 8.4 乗出し費用 8.4.1 倉庫品 8.4.2 糧食品 8.4.3 乗組給料 |
内容 | |
ページ |
P34~P41(8ページ) |
資料No | A-21 |
資料名 |
16世紀17世紀の帆船ー慶長遣欧使節船の復元に因んでー (その21) |
著者 | 寳田 直之助 |
目次 |
9. 木造帆船のメンテナンス
9.1 木を腐らせるFungi 9.2 木材の収縮と歪 9.3 メンテナンスの一般心得 9.4 記念船のメンテナンス実態調査 9.5 木材に対する非破壊検査法 むすび |
内容 | |
ページ |
P24~P34(11ページ) |
資料No | A-22 |
資料名 |
慶長遣欧使節船サン・ファン・バウティスタは如何に再建されたか |
著者 | 平山 次清 |
掲載誌 | 日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨)/99 巻 (2021) |
内容 |
寶田は1年という短期間に,寝食を忘れて細部までの考証に没頭し,17世紀のガレオン船を現代の造船規則を満足する形で甦らせた功労者であると言えるからである。 勿論ゼロから1年で纏めたわけではなく,永年の船舶・海洋構造物建造指導実績,なかんずく帆船日本丸・海王丸といった帆船建造指導実績があったればこそ,であり勿論部分的にはその道の他の専門家もいるが,全体を通してバランスの取れたサン・ファン号再建(再現建造)に関しては寳田の右に出るものはいなかったと考えられる。 |
ページ |